東京地方裁判所 昭和46年(ワ)11650号 判決
〔主文〕一 被告は、別紙の第一および第二のとおりの「SONY」の商標を表示したカセットテープ用ラベルを製造したり、譲渡したり、引き渡したり、譲渡もしくは引渡のために所持したりしてはならない。
二 被告は、前項の物件を付したカセットテープを譲渡したり引き渡したりしてはならない。
三 被告は、原告に対し、金二三一、〇〇〇円およびこれに対する昭和四七年八月一一日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
四 訴訟費用は、被告の負担とする。
五 この判決は、仮に執行することができる。
〔事実および理由〕原告訴訟代理人は、主文第一項ないし第四項同旨の判決ならびに仮執行の宣言を求め、その請求の原因として次のとおり述べた。
一 原告は、別紙商標公報記載のとおり、「SONY」の文字についての登録商標第六一八六八九号の商標権者であり、その指定商品は、「民生用電気機械器具、及び電線、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」である。したがつて、カセットテープが右商標の指定商品に含まれることは明らかである。
二 被告は、昭和四六年六月頃、カセットテープに使用する目的で、原告の前記登録商標を表示したカセットテープ用ラベルと細部に至るまできわめて類似する「SONY」の文字を表示した別紙の第一および第二のとおりのカセットテープ用ラベルを、他人をしてデザイン、印刷させ、その頃その引渡を受けた。被告は、その中のあるものを、肩書地において、別紙の第一のラベルをカセットテープの表面に、同第二のラベルをその裏面に貼布し、これを自ら安売市場に運搬して販売している。
三 被告の右行為は、原告の本件商標権を侵害するものとみなされるところであり、また、原告がその商標権者であることを知りながらされたものである。被告が販売した別紙の第一および第二のラベルを貼布したカセットテープの数量は、昭和四六年六月一日から同年九月三〇日までの間に二、七〇〇個を下ることはない。しかして、被告は、カセットテープ一個につき少くとも金三〇円以上の利益を得ているので、被告が右行為によつて得た利益は少くとも金八一、〇〇〇円以上であるから、原告は、被告の右行為により少くとも被告が得た右金額に相当する損害を受けたというべきである。
四 また、原告は、本訴に先立ち被告を債務者として、東京地方裁判所に対し、別紙の第一および第二のラベルの製造等の禁止、右ラベルを付したカセットテープの譲渡等の禁止およびこれらの物件の執行官保管の仮処分申請をして、昭和四六年年九月二〇日仮処分決定を得、同月二二日その執行をした。右仮処分事件および本訴の手数料として、原告は、昭和四六年一一月二〇日、原告の代理人である弁護士中松澗之助に対し、金一五〇、〇〇〇円を支払つた。
五 よつて、原告は、被告に対し、請求の趣旨(主文第一、二項)のとおりの差止ならびに不法行為による損害賠償として、右三および四の金額合計二三一、〇〇〇円およびこれに対する本件訴状が被告に送達された日の翌日である昭和四七年八月一一日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による金員の支払を求める。」
被告は、公示送達によるのでない送達を受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず、かつ、答弁書その他の準備書面を提出しないので、原告主張の請求原因事実を自白したものとみなさるべきところ、右事実によれば、原告の請求は理由があるからこれを正当として認容し、主文のとおり判決する。
(荒木秀一 高林克己 野澤明)